Q15.
高音を出す方法について聞きたいです。色々調べたのですが、「遠くの人に届くように発声する」「頭に響かせる」「鼻に響かせる」など、どれが正しいのか分かりません。それとも全部できるものなのでしょうか?
A15.
結論から言うと、「遠くへ」も「響かせる」も、高音そのものを習得する方法としては的外れです。それらは“出せるようになった後”に音を整えるための感覚であって、出すための原因ではありません。順番を逆にすると、たいてい喉を締めて終わります。
高音というのは、変わったことをせずに「普通に出せる」ようになる以外に習得する道はありません。やることは一つ、普通に出せる範囲を上へ広げていくことです。逆に言えば、普通に出す方法が「わからない」音は「出せない」音です。
なぜ高音が出ないのか
原因は大きく二つに分かれます。
出せない原因は喉、わからない原因は耳です。
高音を出そうとすると、多くの人は無意識に喉(喉頭)を持ち上げます。これをやると音色が変わってしまい、声帯が引き伸ばされる正しい動きの邪魔をします。喉を上げずに音程だけをコントロールする——これが高音の核心で、ここを体で覚えるしかありません。
そして厄介なのは、この音色の変化を自分で聞き取れない人がとても多いことです。変化が聞こえなければ直しようがない。だから「耳の問題」なのです。
具体的な練習手順
- 楽勝の音域から磨く。 いきなり高い音を狙わない。確実に「普通に」出せる中音域で、喉を上げずに発声する感覚を固めます。土台のない高音は必ず崩れます。
- 半音ずつ上げる。 一気に上がろうとせず、出せる音の一番上から半音だけ上を探る。「上げ方=音の取り方」を、喉を動かさずに体得していきます。
- 録音して喉上がりを耳で確認する。 上の音にいくほど音色が変わっていないか、自分の声を録って聴く。最初は分からなくても、繰り返すうちに「あ、ここで締まった」が聞こえるようになります。耳が育てば喉も直ります。
- 裏声と地声を行き来する。 元の回答にはなかった補足ですが、裏声で上の音域の“伸びる感覚”を覚えてから地声に近づけていくと、喉を締めずに音域を上げる感覚がつかみやすくなります。裏声→地声をなめらかにつなぐ練習(ミックス)は、高音域を広げる王道です。
- 無理した日は休む。 高音練習は喉が疲れていると簡単に悪いクセがつきます。痛い・かすれるは即中止。継続のほうが一回の根性より効きます。
【おまけ】インスタントに高音だけ出す裏技
応急処置として一応あります。頭のてっぺんや目からまっすぐビームが出るイメージで裏声を出し、「マ゜ァー!!」と一点に集中させて響かせる。これで高音“だけ”は出ます。ただしこれは曲で使える発声とは別物なので、あくまで「出る感覚をつかむ取っかかり」として。土台づくりの代わりにはなりません。
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